シェリングのベートーヴェンVn協奏曲(指揮:アンチェル、チェコフィル)
2003年 10月 05日
最近は忙しくてCDを聞く時間をなかなか作れないが、購入した日の晩、睡眠時間を削って聴いた。聴き終わったときは、興奮が醒めず、なかなか寝付けなかった。シェリングの演奏について言えば、例によって例のごとく、ミスがほとんどなく、音が非常に美しく輝いている。個人的には、シェリングが最も美しい音を響かせていた時期は1960年代だと思っており、このCD(1966年録音)は、まさに美しさを極めた演奏であった。それに、ライブ録音だけあって、リズムの躍動感という点で際立っている。この躍動感の傑出ぶりはちょっと異例で、他のライヴ録音と比較しても優れているように思う。最も典型的に現れたのが第三楽章だ。わたしは、このCDを聞いて開いた口が塞がらなかった。「なんで、こんなに美しいライブ録音が、市場に出回っとらんのじゃあ!」。もはや、怒りすら覚える。
細かい話だが、ファゴット(1番)があまり上手でないように思う。第一楽章の523小節以降と、第二楽章の22小節以降のhの音程が低いように思われるし、第二楽章の27~29小節、37~39小節の四分音符と八部音符を端折り気味に演奏していることが気になる。第二楽章27~29小節では、シェリングがファゴットのリズムの変化をほとんど瞬間的に察知してこれに合わせてあげたので(シェリングはこの類のリズムの変化には極めて敏感で、常に冷静・適切に対処する)、ファゴットのミスは目立たなくなっているけれども、37~39小節のトゥッティの部分ではそうはいかない。ここでは、ファゴット(1番)はファースト・ヴァイオリンとユニゾンなので、リズムがずれていることが目立つ。雑な吹き方をしているように聴こえ、ちょっと残念だ。細かい話だが、どうしても気になって仕方がないので書いた。
【CD情報】
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮 カレル・アンチェル
ヴァイオリン ヘンリク・シェリング
1966, PRAGA PRODUCTIONS, PR 254 007
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