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ミケランジェリのピアノ

 評論家が記すミケランジェリ像は、気難しくて神経質で横柄。演奏会ではピリピリした雰囲気がホール中を満たすので音楽を聴くのも肩が凝って一苦労・・・。そんなものだったと思う。そういう文字情報に事前に接していたわたしは、気性の激しさが鍵盤に八つ当たりされるような荒っぽいピアノの演奏を勝手に連想していた。わたしはミケランジェリのピアノを聴いたことがなかった。

 ひかりTVで放映されたショパンの演奏は、そういうわたしの固定観念を打ち砕くにはちょうど良かった。小さな音を、とても綺麗に響かせる演奏だったと思う。この人について言われる性格上の特徴は、少なくとも演奏を聴いている限りは感じ取れなかった。まるでショパン本人が引いているかのような、自由自在の鮮やかな音の変化がとても印象に残った。

 非の打ちどころがないことは批判されることではない。すべての音が頭脳によって統制・統御されている印象はあったけれども、それが否定的に感じられることはなかった。
 
【視聴番組概要】
クラシカ・ジャパン 2008年07月17日(木)21:00~23:00
ミケランジェリ『ショパン・リサイタル』Vol.1~3
[演目]バラード第1番ト短調、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調/ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調『葬送』、他
[ピアノ]アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ
[収録]1962年イタリア放送協会(トリノ)、約1時間50分
by binwa | 2008-07-18 00:17 | ┣ 室内楽

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