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音楽評論家への要望

先日、このブログで紹介した新譜2のライナーノーツには、Cristoph Schlurenという人の名で、シェリングについて次のことが書かれていたが、はっきり言ってがっかりする内容だった。
Of the great violinists of the twentieth century, Henryk Szeryng (1918-88) is one of those who were perceived as superior phenomena during their lifetime but are only known to experts today. His posthumous reputation is not comparable to that of some of his colleagues, such as Jascha Heifets, Nathan Milstein, David Oistrach, Yehudi Menuhin or Isaac Stern, although they were all definitely mentioned in the same breath while he was alive. As far as his instrumental flawlessness, power and beauty of tone are concerned, he is unquestionably one of the great masters of his epoch, at least in his prime. by Cristoph Schluren
このCDは、シェリングのファン以外買うはずがないのだから、もう少し読み手のことを考えてほしいと思う。別に嘘や思っていないことを書けというつもりはないが、思っていることの一部を書かないくらいの配慮はしてほしいのである。下線を引いた箇所はすべて余計で、ないほうがよほどよかった。

ファンが特定の音楽家の演奏を好んで聞くのは単に好きだからであり、何かと比較してすぐれていると思うから聞くわけではない。シェリングがハイフェッツやオイストラフと比べてどうだとか、死後も名声を残しているかどうかいう発想は、少なくとも私がシェリングの演奏を聴く場合には浮かんでこない。

そういうスタンスの私が音楽評論家に求めることは、シェリングの演奏にはどういう特徴があるのかを分かりやすく書いてほしいということである。それを読むことで、なぜ自分がシェリングを好んで聞くのかを理解したり、納得できることが少なくないからである。しかし、彼のレビューには、そういうことは触れられていなかった。

CDメーカーも、もう少し空気の読める評論家を選んで委託してほしいと思った。


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Commented by 夜のガスパル at 2015-06-14 22:30 x
びんわ様、大変お久しぶりでございます。
シェリングが、ハイフェッツはともかくとして、メニューインやスターンと比べられるほどではない・・・???
ちょっと驚愕の内容ですね。
あまり気にするほどの評論ではないと思いますよ。
でも、普通は売るためには帯はもとより中の解説もベタ褒めが一般的だと思うんですがねぇ。
Commented by binwa at 2015-06-15 23:50
夜のガスパルさん。お久しぶりですー。ほんと、余計なことが多い解説ですよね。書かなくてよいことをわざわざ書いて誰が得するのやら。あれからいろいろ考えてみたんですが、20世紀の巨匠たちの多くが現役引退後に伝記を書いたりメディアに登場したりした中で、シェリングは現役の真っ最中に突然亡くなってしまったので、確かに記憶に残りにくい要素はあったと思うんですよね。ミルスタインのような伝記やメニューインのような自著があったら、もっとファンが多かったかもしれません。
by binwa | 2015-04-23 01:53 |  ┣ シェリング | Trackback | Comments(2)

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