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ヴィヴァルディ「秋」
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 わたしがクラシックのCDを買い集めるようになったのは2002~3年頃でした。大学4年(1997年)のときに、ヘンリク・シェリングの無伴奏ソナタ・パルティータのCDを買って聞いて、シェリングの演奏をもっと聞きたいと思っていたわけですが、稼ぎがなかったので後回しにしていました。2002年というと、当時、わたしは司法試験の受験勉強をしていて、定職をもっておらず、塾の先生やコンビニのアルバイトをしながら法律の勉強をしていたのですが、アルバイト給料が入るたびに2~3万円をCDの購入に充てていました。貧乏に喘いでいたわりには、ずいぶんと贅沢な暮しをしていたと思います。

 もし、仮に、今司法試験の受験生で、当時と同じような暮らしぶりをしているとしたら、わたしは以前ほどCDを買わないと思います。理由は一つで、YouTubeにアクセスすれば、一生かかっても聞ききれないほどたくさんの膨大な音源にアクセスできるからです。YouTubeを見ていると次から次へと聞いたことがない演奏を聴くことができ、時間が経つのを忘れてしまいます。

 YouTubeの中をさまよっていたら、ヴィヴァルディの「秋」の演奏にたどり着きました。今日は、ユリア・フィッシャー(独)とカルミニョーラ(伊)の演奏を聴き比べてみたいと思います。

 四季には作者不明のソネットがありますので、まず、はじめにこれを読んでおきたいと思います(Wikipediaからの引用)

協奏曲第3番 ヘ長調、RV.293「秋」(L'Autunno)
アレグロ(小作農のダンスと歌) ( Vivaldi Autumn mvt 1 Allegro(ヘルプ / リンク))
小作農たちが収穫が無事に終わり大騒ぎ。ブドウ酒が惜しげなく注がれる。彼らは、ほっとして眠りに落ちる。
アダージョ・モルト(よっぱらいの居眠り) ( Vivaldi Autumn mvt 2 Adagio molto(ヘルプ / リンク))
大騒ぎは次第に弱まり、酒はすべての者を無意識のうちに眠りに誘う。チェンバロのアルペジオに支えられてソロヴァイオリンは眠くなるような長音を弾く。
アレグロ(狩り) ( Vivaldi Autumn mvt 3 Allegro(ヘルプ / リンク))
夜明けに、狩猟者が狩猟の準備の為にホルンを携え、犬を従える。獲物は彼らが追跡している間逃げる。やがて傷つき獲物は犬と奮闘して息絶える。


ユリア・フィッシャー


カルミニョーラ




 わたしはユリア・フィッシャーの演奏が大好きで、何枚かCDやDVDを持っています。一番好きなのが、ヴァイオリンとピアノを両方弾いたコンサートをおさめたDVDで、演奏中の彼女の「目」を見ていると、ゆるぎない自信や大事を成すんだという覚悟を感じることができて、見ているだけで気持ちが高ぶってしまいます。この「秋」の演奏も解釈に迷いがなく、堂々と自信に満ちていて気に入っています。

 カルミニョーラの演奏を見つけたときは、YouTubeの存在そのものに深く感謝の気持ちを持ちました。きっとYouTubeなければ、この演奏に出会うことがなかったと思うのです。カルミニョーラの演奏は、収穫の喜びがあり、酔っ払いのどんちゃん騒ぎがあり、泥酔があり、狩りがあり、もう、先に引用したソネットをそのまま音にしたもののように感じられます。この演奏を聴いていたら、みんなでわいわいがやがやしている情景がありありと浮かんできて、思わず笑ってしまいました。

 そのほか、YouTubeの中には、とても素敵な映像を伴う演奏もありました。「秋」は22:00からです。



 

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# by binwa | 2011-10-23 10:47 |  ┣ 協奏曲 | Trackback | Comments(0)
メトネルのヴァイオリン・ソナタ第3番
 皆さんには、以前聴いたメロディが突然浮かんできたんだけれども、作曲者や曲名が思い出せずにイライラしたという経験はありませんか。わたしは、物忘れが激しいことも手伝って、曲名が思い出せないことがしばしばあります。でも、幸いなことに、作曲者の名前をまったく思い出せないことはあまりなくて、「あの、ブラームスの、なんていう曲だったかな」というような忘れ方をすることが多いです。すくなくとも作曲者という手掛かりはあるので、ジャンルをしぼって検索することにより、さほど時間をかけずにお目当てのメロディにたどり着くことができます。

 ところが、先日、突然あるメロディを思い出したものの、誰の何て言う曲だかがまったく思い出せないという事態に遭遇しました。こうなると、それが何て言う曲なのかが気になって気になって仕方がありません。通勤時間は何もできなくなりましたし、会社から帰ってきてもそのことで悩み通しでした。あまりに思い出せないので、「もしかしたら、この美しいッメロディはわたしのオリジナルなのではないか?」なんて一瞬思ったりもしました(笑)。もちろん、そんなはずはないわけですが。曲名がわからないまま一週間もたつと、残念なことに、その旋律についての記憶が消滅し、浮かんでこなくなってしまいました。

 どういう状況でその旋律が浮かんできたかというと、朝の出勤途中、家から最寄り駅まで歩く最中のことです。さきほどのエントリーでも記しましたが、この10月に転職しまして、しばらくの間は見知らぬ土地に冒険しているような気分で出勤しておりました。そうしたら、昔、聴いて脳みその片隅に残っていたエキゾチックな旋律が急に浮かんできて、妙に自分の気持ちにフィットしたわけです。

 その曲の正体は、昨日、偶然分かりました。メトネルのヴァイオリン・ソナタ第3番の第2楽章冒頭のメロディでした。下の映像の15:55あたりからはじまる音楽です。



 わたしが持っているCDは、ワディム・レーピンによるスタジオ録音です。わたしは、このCDを2007年の1月にamazonに発注しています。買ってからしばらくの間、お気に入りで、毎日再生していました。しかし、1ヶ月もしないうちに棚にしまって、以後は棚に眠ったままだったと思います。4年以上耳にしていない旋律でも、何かをきっかけに思い出すことがあるんですね。自分にとっては、このことがとても意外でした。

 わたしは、こういう音楽的な経験を大事にしていきたいと思っています。


ラベル・メトネル:ヴァイオリン・ソナタ
  Vn: レーピン
  Pf: ベレゾフスキー


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# by binwa | 2011-10-23 03:48 | ┣ 室内楽 | Trackback | Comments(0)
ベルクのヴァイオリン協奏曲
 先週の日曜(10/16)、実家の父親から電話がかかってきました。電話をかけてくることはめったにないので、何事だろうと思って出たら、伯父さん(父の姉の夫)の訃報でした。伯父さんは、二年前に交通事故に遭ってから寝たきりとなり、リハビリに取り組んでいたのですが、回復することなく帰らぬ人となってしまいました。70歳になったばかりの、若すぎる死でした。

 告別式は10/19水曜日に行われました。わたしはこの10月に職場を替えたばかりでしたが、会社に事情を説明してお休みさせてもらいました。棺の中の伯父さんは、以前と比較にならぬほどほっそりと痩せていましたが、いろんな苦しみから解放されたような安らかな表情をしていました。その顔を見たら、もう涙が止まらなくなってしまい、「お疲れさまでした。どうか安らかに、お休みください」と短く声をかけるのも、嗚咽に妨げられるほどでした。

 考えても仕方のないことですが、もし、その交通事故がなければ、伯父さんはまだまだ元気だったと思います。事故といっても、同乗者は誰ひとり怪我をしないそれほど大きくない事故だったのですが、不運なことに、伯父さん一人だけ衝突時に頭の打ちどころが悪く、意識不明の重体に陥ってしまいました。意識が回復した後は、全身に障害が残り、身体の自由が利かなくなってしまいました。

 なぜかは分からないのですが、父から電話で伯父さんの訃報を聞いたとき、ベルクのヴァイオリン協奏曲の第二楽章が脳裏に浮かんできました。あらゆる病魔が若い少女を襲っている様子を表現した音が、私の中で、事故後の伯父さんのつらさと重ね合わさったのかもしれません。告別式で伯父さんの顔を見たときも、やはりベルクの協奏曲の第二楽章が浮かんできました。やや疲れ気味ではありましたが、伯父さんの安らかな顔が、死んで病苦から解放されたマノンと重なったのかもしれません。





 YouTubeに諏訪内さんの演奏があったので、表示させてもらいました。諏訪内さんといえば、彼女が10年くらい前にお書かきになった『ヴァイオリンと翔る』という書物の中で、ベルクの協奏曲を初演したクラスナーと諏訪内さんに関する逸話が紹介されていたのを思い出しました。ベルクのヴァイオリン協奏曲については、わたしは、シェリングがクーベリック・バイエルン放送響と録音した1975年の演奏(Virtuoso, 70001)が好きですが、諏訪内さんの演奏もこの曲の内面に深く食い込んでいて、聴きごたえがあると思いました。
# by binwa | 2011-10-23 02:55 | ┣ 協奏曲 | Trackback | Comments(0)
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